もし、あなたが腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けることになっているのでしたら、必ずこの記事を読んでください。あなたは不必要な手術をすることになるかもしれないのです。
今回の記事では、どうして椎間板ヘルニアになるのか。本当に手術が必要なケースはどんな時なのか。手術の代わりに何をすればいいのかについて、お伝えします。
椎間板ヘルニアとは?
ヘルニアと言ったら、椎間板ヘルニアを思い浮かべる方が多いと思うのですが、実はヘルニアという言葉は、体内の臓器が本来あるべき位置から外部に出てしまった状態を指す言葉なので、椎間板だけでなく、他にも出べそ(臍ヘルニア)や脱腸(鼠径ヘルニア)などでも使われています。
椎間板の中にある髄核というゲル状の組織が線維輪を突き破って外に飛び出した状態を椎間板ヘルニアと言います。
椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアの症状としては
- 腰痛
- 臀部の痛み
- 太腿の痛み
- 下半身の痺れ
- 膝や足に力が入らない
- 尿や便が出にくくなる
- 頻尿、失禁
などがあります。この中でも手術が必要なものとそうでないものがありますので、後ほど詳しく触れます。
その痛みや痺れ、本当に椎間板ヘルニアが原因?
腰から脚にかけて、痛みや痺れがなどがあると、椎間板ヘルニアを疑うのですが、本当に椎間板ヘルニアが原因なのでしょうか。
一般的には、椎間板ヘルニアが神経を圧迫することによって、痛みや痺れが発生している言われているのですが、実は神経は圧迫されても痛みや痺れを感じません。
これは医科大学で実際に実験して確認済なのですが、なぜかいまだに椎間板ヘルニアが神経を圧迫して痛みや痺れが生じていると言う説明がまかり通っています。
あなたを悩ませている痛みや痺れは椎間板ヘルニアが原因ではないのです。
その椎間板ヘルニアはいつなったものなのでしょう?
誤解が生じることを避けるため、もう少しだけ詳しく説明します。椎間板ヘルニアになった直後は、髄核が線維輪を突き破って飛び出してしまいますので、激しい痛みが発生します。
これは、怪我と同じ状態なので、感じているのは炎症による痛みということになります。ただ、怪我は放っておいても治りますので、発症直後は確かに激しい痛みがあるものの、2~3週間もすると炎症がおさまって痛みが消えていきます。
意外に思われるかもしれませんが、炎症がおさまってしまえば痛みは発生しないので、たとえ椎間板が飛び出した状態のままでも痛みを感じることはありません。実際に画像検査で椎間板ヘルニアが確認されながらも、痛みを感じていない人もたくさんいるのです。
逆に言うと、腰やお尻、脚などに痛みや痺れがあるからと言って画像診断をしても、その画像に映った椎間板ヘルニアがつい最近なったものなのか、それとも以前から飛び出していたものなのか、判断できないのです。
椎間板ヘルニアが痛みや痺れを引き起こしているわけではないのであれば、なぜ痛みや痺れが起きてしまっているのでしょうか。
これは「なぜ椎間板ヘルニアになるのか」を考えると見えてきます。
椎間板ヘルニアになる理由
椎間板の中にはゲル状の髄核があり、その周りをバームクーヘンのような年輪状の構造をした線維輪が包んでいます。幾重にも重なっている層を突き破って中身が外に飛び出してくると言うのは、かなりの力が加わらなければなかなか起きないはずです。例えば、階段から滑り落ちて尻餅をつくなど、大きな負荷があったのなら、椎間板ヘルニアになってもおかしくないのですが、日常生活でこのようなことが果たしてあるのでしょうか。
実は、ある特定の状態になると、外部から大きな負荷がかからなくても、椎間板が潰れてしまうような大きな力が加わることがあります。
いつものように皆さんの想像力を少しお借りして、説明してみましょう。
ハンバーガーを思い浮かべてみてください。
ハンバーガーの両端を手で持っています。その状態で、左手だけでハンバーガーの上下をぎゅっと押さえてみてください。ハンバーガーの中身はどうなるでしょうか。右に寄りますよね。逆に左手の力を抜いて、今度は右手で押さえてみてください。今度は中身が左に寄りますね。では、今度は右手で押さえたまま、左手でも押さえたら、中身はどのようになるでしょうか。
そうです、飛び出してしまいますよね。つまりヘルニアになったのです。
ハンバーガーの中身と椎間板のイメージが、まだ繋がらないと言う方もいると思いますので、今度は背骨と椎間板を使って説明してみます。
ハンバーガーでは左手と右手でしたが、背骨と椎間板では分かりやすいように前と後ろで説明したいと思います。
前側の筋肉と後ろ側の筋肉がちゃんと伸びることができれば、椎間板に極端な負担がかかることはありません。これがハンバーガーを左手と右手で交互に押さえた場合と同じ状態です。ところが、前側の筋肉が硬く縮んで伸びなくなってしまっている状態で、後ろ側に腰を反らしたらどうなってしまうでしょうか。そうです、椎間板を押しつぶすような力が加わってしまいます。つまり右手で押さえたのと同じ状態です。
更に、今想像している背骨の上の背骨に繋がっている筋肉も同じように硬くなって伸びなくなってしまっていると、一つの長い棒のようになって、てこの原理が働いてしまうのはイメージできますでしょうか。
このてこの原理が働くので、少しの力しか加わっていないのに、椎間板を押しつぶすような大きな力が発生してしまうのです。
椎間板ヘルニアになる箇所というのは、だいたい決まっていますよね。ほとんどのケースで第5腰椎と仙骨の間、もしくはその近辺の椎間板がヘルニアになることが多いのも、このてこの原理が働きやすい箇所だからなのです。
筋肉が柔らかければヘルニアにはならない
まとめると、こういうことです。椎間板を挟んでいる下の背骨と、上の背骨をつないでいる前側の筋肉がきちんと伸び縮みできれば、椎間板ヘルニアにはなりません。
階段から尻餅をつきながら落ちたというようなシチュエーションは別ですが、背骨についている筋肉がきちんと伸び縮みできていれば、普段の生活の中で、椎間板ヘルニアになるような大きな負荷がかかることはないのです。
もう一つ、面白い話をしてみましょう。
この背骨と背骨をつないでいる前側の筋肉は、腰を後ろに反らすと痛みが出る腰痛の原因となっている筋肉と同じ筋肉なのです。このことについては、別の記事で詳しく書いていますので、詳しく知りたい人はそちらの記事を読んでください。
この、腰を反らすと痛みが出る腰痛に関係のある筋肉を緩めると、例え椎間板が飛び出していたとしても、痛みは消えるのです。椎間板が飛び出した直後は炎症も起きているので痛みを感じますが、前述した通り炎症は長くても2~3週間もすれば治ります。3週間以上痛みが消えない場合は炎症の痛みではなく、筋肉が硬くなったことによって起きている腰の痛みということになります。
手術が必要なケース
これまでは、手術が必要のないケースについてお伝えしてきましたが、もちろん手術が必要なケースがあります。
それが、麻痺がある時です。
神経は圧迫しても痛みや痺れが感じないのですが、強く圧迫されてしまうと、断線してしまい信号をうまく伝えることができなくなってしまいます。膝や足に力が入らない、失禁などがこれに該当します。麻痺がある場合は早急に手術をする必要がありますので、ドクターにすぐ相談してください。
腰痛を改善すれば、いづれは椎間板ヘルニアも改善する
3週間以上腰が痛い状態が続いているのであれば、例え椎間板が飛び出していたとしても、痛みの原因は私たちが普段対処している腰痛と一緒です。大腰筋という筋肉を緩めてあげれば、楽になってくるはずです。
硬くなった筋肉はマッサージで刺激を加えたり、ストレッチのように伸ばしてもなかなか柔らかくなりません。筋肉の仕組みに沿った方法で緩める必要があります。
この大腰筋は自分で緩めることはできますが、内臓の奥にある筋肉ですので、ちょっと難しいと思います。施術中に自分で緩める方法もお伝えしていますので、まずは一度私たちの施術を受けてみてください。
ところで、飛び出した椎間板は、筋肉を緩めた後どのようになるのでしょうか。
私たちの体の中には異物を食べてくれるマクロファージなどのお掃除屋さんがいます。飛び出している量が多けれ多いほど時間がかかりますが、このお掃除屋さんが飛び出した部分を異物として食べてくれますので、いずれは飛び出した部分は綺麗になくなってしまいます。
見習いセラピストの施術によって母親の手術を回避
最後に少しだけ見習い筋肉チューニングセラピストが実際に体験した話をしたいと思います。
ちょうど大腰筋の緩め方を習っている時に、その見習いセラピストのお母様が椎間板ヘルニアで手術をすることになりました。彼は、腰の痛みが椎間板ヘルニアが原因ではないということをすでに知っていたので、急いで実家に帰ってお母様の大腰筋を緩めたそうです。
さて、その後どうなったと思いますか?
お母様は腰痛が改善して、手術をする必要がなくなったのです。
もし、腰痛の原因が椎間板ヘルニアだと言われて、手術をすすめれれているのでしたら、手術を受ける前に一度、私たちにご相談ください。しなくてもいい手術を避けることができるかもしれません。
またお知り合いの方で、同じように腰痛で椎間板ヘルニアの手術をする予定がある方がいらっしゃる場合は、ぜひこの記事を紹介してみてください。