手術後の【術創部】は長引く痛みや違和感の症状を引き起こす筋拘縮を助長させる可能性がある

術創部、手術創、手術痕とは?

術創部とは手術でできた創(きず)のことを言います。

手術創(しゅじゅつそう)とも言われどんなに小さな手術でも皮下から侵入すれば創ができ、創が治るのには一定期間を要します。

個人差はありますが、手術後2週間は創部がある程度腫れたり痛んだり出血したりします。

創部の状態がおちつき一般的に治癒が完了しても手術痕瘢痕組織と呼ばれる傷跡が残ることがあります。

この手術痕部分の体の層にある軟部組織。

浅い組織または深い組織が適切に治癒されず硬く縮こまった状態になるケースを多く経験します。

その手術による術創部の手術痕の硬さは直接的な血流障害や動きの制限を引き起こす可能性もありますが、間接的に周辺組織の動きを制限することで様々な症状を助長させることがあります。

特に筋肉への影響は大きく筋拘縮を助長させる大きな要因の1つです。

筋肉が硬く縮こまり血管が圧迫されることで起きる血流障害が痛みを引き起こすこと多くの要因になります。

筋拘縮を助長する要因の手術痕の硬さは長く続く痛みの改善の妨げや違和感、体を動かすために重要になる骨の動きを阻害させる手術痕部の状態の把握と改善はとても重要になります。

小さな術創部は大丈夫?

医療技術や医療機器の発達により昔と比べると同じ病気でも術創部の大きさは格段に小さくできるようになった手術もあります。

特に内視鏡の鉗子口からスネアと呼ばれる細い鋼製ワイヤやITナイフなどの高周波メスを挿入し、組織内の治療をする内視鏡手術は術創部の小さくなり患者の負担も大きく軽減できるようになりました。

例えば盲腸の手術を昔経験した方もいると思います。

急性虫垂炎と呼ばれ直径1cmほどの虫垂が炎症による症状などで摘出をしなければならない状態になることで、昔の開腹手術は約3〜4cmの大きさですが、腹腔鏡下手術では役1cm〜5mmと半分以下の大きさで可能になります。

では術創部が小さいからと言って手術後の手術痕の硬さがないと言うとそうとは限りません。

傾向としては大きな手術痕の方が硬さの範囲や深さははっきりしているのですが、小さい手術痕でもしっかりと周辺や深部の組織の硬さの筋拘縮がある方は多いです。

逆に言えばそのはっきりとした筋拘縮が体に悪影響を及ぼしている大きな要因になっている場合があります。

しっかりと状態を確認して改善させていく必要があります。

手術痕はどうなっているのか?

からだのためのポリヴェーガル理論(スタンレー・ローゼンバーグ:春秋社からの出版)の一節にはこう記されています。

瘢痕組織は、外科手術後、同じ場所に同じ傷が再度発生することに備えて、身体をより強くするために形成されます。患者は、頭では、まったく同じ場所に、再び切り傷ができる可能性はないとわかっています。

ですから、このような過剰な反応はしなくてよいと思うのですが、結合組織はこれを知りません。

手術は、健康を回復するため、あるいは命を救うために必要でした。しかし、筋肉と筋膜の層は、切り傷を治癒するために収縮して厚くなり、この筋膜ネットワークの中の緊張は、この切り傷がある場所を超えて、全身に拡がります。あまり知られていないことですが、外科手術はすべてこの否定的な副作用を持ちます。

表面に瘢痕組織があまり見えない場合でも、皮膚の下の筋肉や結合組織、さらには、より深い筋膜層内に、瘢痕組織が広範囲に蓄積されている可能性があります。

筋肉と結合組織が隣接する層の間には少量の濃い液体があり、そのために筋肉と結合組織が癒着せず、滑って移動するのを可能にしています。しかし、手術の間に、この液体は空気にさらされて乾燥し、各層が癒着します。

また、外科的な切開、あるいはどんな傷のあとも、結合組織細胞は、過剰な膠原(コラーゲン)線維を生産します。これは、筋肉や筋膜の層を、隣接する層と結合させてしまいます。二つの層が癒着したまま回復すると、かつてのように、互いの上を滑らなくなります。多くの外科医は、これを避けるために、時間をかけて、一つの層を縫い合わせ、次に、その上の層を縫い合わせるようにし、いろいろな層が一つに縫い合わされることがないように気を配ります。

しかし、残念ながら、一部の外科医はこの重要性を理解せず、時間とお金を節約しようとして、さまざまな筋肉や筋膜の層を一緒に縫い合わせてしまいます。 その結果、筋肉と結合組織は、その縫い合わされた領域での柔軟性を失ってしまいます。瘢痕組織は、より厚く硬く感じられ、表面だけでなく、身体のより深くにも形成されます。

帝王切開では、瘢痕組織は皮膚の表面よりずっと下の子宮まで届きます。胸部か腹部が切開された場合、瘢痕組織は、呼吸のために必要な空間を制限します。

手術後の傷痕は、すべてのものをその部位へと引き寄せます。個々の層は乾いて一緒にくっつき、動きは制限されます。身体前面の結合組織が緊張すると、身体前面が短くなります。

そして頭がさらに前方下方へと引っぱられます。ですから胸部か腹部の手術をした人には、瘢痕組織の緊張を解放する技術を持った、熟練したマッサージ・セラピストを見つけることを勧めるようにしています。

瘢痕組織の治療にあたっては、筋肉と結合組織の個々の層にある、動きを妨げる癒着に働きかけます。その緊張と癒着を解放することで、各層が、再びそれぞれ自由に滑ることができるようにします。瘢痕組織を解放すると、頭と首の可動域が広がり、背骨の柔軟性が戻り、姿勢が改善されます。この変わりように、私はいつも驚かされます。

からだのためのポリヴェーガル理論 FHPを引き起こす瘢痕組織 より引用

どんな手術であっても体に侵入し術創部としてできた手術痕は何らかの影響を体に及ぼしている可能性があります。

もしかしたらその手術痕からの筋拘縮の助長により痛みや違和感が長引いている要因になっているかもしれません。

標準医療が見逃している筋肉がロックして硬く縮こまった状態【筋拘縮】の概念筋拘縮を解除する徒手技術【筋肉チューニング】を知る、そして手術後の手術痕の影響が体に影響を与える可能性があると知る方が増えることで、長年の生活や楽しみの悩みとなっている痛みや症状が解決でき人生を十分に楽しめることができる方が増えて欲しいと思います。

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*UROOMは【筋拘縮】を筋肉チューニングという手法により解除することで様々な症状の解決に導く整体院です。


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ABOUTこの記事をかいた人

幼少期からサッカーに没頭し、家族やチームメイトなど関わってきた全ての方の助けもあり、小学校で全国大会優勝、高校で静岡県大会優勝の経験をさせて頂きました。しかし、高校時代に怪我による身体感覚の変化を経て「自分の體はプロでは通用しない」と自覚し、理学療法士の道を選択しました。 理学療法士として勤務した11年間で、担当した患者数は約5万人。 そんな多くの出会いや経験をさせて頂く中でよりヒトの探求していき、體の可能性と凄さを知ることで強さとしなやかさを引き出し、支え、手放せる存在になる為日々鍛錬中。 現在は筋肉チューニング、栄養ストラテジー、リアクティベーション、メタトロン波動測定など【MTR Method™️】を様々な形で伝えている。