自分の筋肉はどうなっているか?ー筋肉の状態を認識するー

「胎児期の指しゃぶりを考えてみると、胎児期には口こそが『自分』であると思われます。
その口に手を入れることによって手を認識し、その手を使って体を認識するという仮説もあながち間違っていないように思えるのです」
小西 行郎(同志社大学赤ちゃん学研究センター 教授)

赤ちゃんが自分を触ることは、自分自身の認識をもとに脳内に自己の体の像を作り上げる発達の為に重要な行為です。

前回の記事では【筋拘縮】と呼ばれる概念について説明させて頂きました。

筋拘縮とは
・筋肉がロックして硬く縮こまった状態
・長く続く痛みの原因が筋拘縮により血管を圧迫して起きる血流障害

多くの痛みの原因、筋拘縮を知っていますか?

2022-05-02

長続きする痛みを根本から改善するためには、この筋拘縮と呼ばれる筋肉状態を解除することが重要です。
それでは【筋拘縮:硬く縮こまった筋肉】とはどんな状態の筋肉なのでしょうか?

筋肉の状態を知るために、まずは一般的な筋肉の役割について確認していきます。

筋肉(muscle)の役割とは?

体には大小で600を超える筋肉があり大きく3つの種類に分けられています。

筋肉の種類
①骨格筋
骨と骨の間にあり関節を動かす筋肉
②心筋
心臓を動かす筋肉
③平滑筋
血管、消化管、尿管、膀胱、子宮など内臓の壁を作り助ける筋肉

それぞれ自分で意識的に動かすことができる筋肉、意識的に動かすことはできず無意識に働いている筋肉があり、これらはヒトが生きるために必要になる多くの役割を担っています。
特に骨格筋と呼ばれる自分の意思で動かすことのできる筋肉は、生命活動を維持する為の役割を果たしています。

「myokine(マイオカイン)」と呼ばれるホルモン様物質の総称も筋肉から直接出ると言われています。
多くは筋肉が運動する際に筋線維自体から直接分泌されますが、筋線維が活動していないときにも分泌する物質もあるとされています。

まだまだ機能が確かなものは約30種類程度で、不確かな物質も多い未知で可能性のある物質で「脳を若返らせる物質」とも呼ばれます。


図引用元:豊橋ハートフルセンター

骨格筋の役割が発揮されるのはどんな状態の筋肉?

上記の図で、骨格筋が生命活動を維持する為にいくつもの役割があることがわかったと思います。

その中でも、自分の体を自分で触ることでどんな筋肉の状態なのかを確認する上で重要な3つの要素があります。

・血液循環ポンプとしての役割
・水分の貯蔵
・衝撃から体を守るクッション

これらが発揮される状態の共通している要因は「軟らかさと硬さ」を兼ね備えていることだと思います。

ポンプとしての役割を果たすためには適度な軟らかさと硬さが必要
水分が適度に貯蔵すれば軟らかさが生まれる
衝撃から体を守るためにはクッションに適度な軟らかさと硬さが必要

さらに筋肉は、伸び縮みするゴムとバネの両方を兼ね備えた粘弾性という性質を持っています。
それにより、収縮と弛緩と呼ばれ一般的に「力が入る・抜く」状態が筋肉にはできるようになります。


【収縮】縮こまる状態→体が動き、支える必要がある状態→力が入る→筋肉が硬い状態
【弛緩】筋肉が伸びている状態→体は安静、支える必要がない状態→力を抜ける→筋肉が軟らかい状態

筋拘縮の状態の筋肉とは?

環境や状況に応じて縮こまったり(収縮)、伸びたり(弛緩)することができるのが筋肉としての役割を発揮させるために必要です。
しかし、【筋拘縮】と呼ばれる状態は何かしらの原因で筋肉が縮こまり続け伸びることができない、支える必要がないのに支える状態になっている、力を抜きたいのに入ってしまうといったことが起きます。
そのような状態の筋肉は、触って適度な圧を加えたり伸ばしたりすると【硬く・痛く・伸びない】ことが多いです。


正常な筋肉の状態は「柔らかく・痛みがなく・伸びる」状態で、筋肉内の血流も阻害されることなく十分に流れます。


筋拘縮の筋肉状態は「硬く・痛く・伸びない」状態で筋肉内の血流が阻害されて痛み物質や疲労物質も蓄積していきます。

自分の筋肉を触ることで自分の体を認識する

赤ちゃんは自分の体を自分で触ることで認識して発達していきます。
手術後の痛みについてですが、自己認識能力と痛みが関与しているという下記のような報告もあります。

「膝痛を改善するために人工膝関節置換術という手術が行われます。この術後痛に関わる要因を検討した結果、自己身体の認識能力が低下した症状(neglect-like symptoms)と痛みへの過度の不安感(pain catastrophizing)が術後痛に関与していることが明らかになりました」
参考サイト:幾央大学ニューロリハビリテーション研究センター

痛みとの関連があるということは、筋肉の硬さ【筋拘縮】は自己認識能力に影響するとも考えられます。
筋拘縮が強い方の話を聞くと「体を動かした時に自分の体じゃないような感覚がある」と言われたりもします。

筋拘縮の解除により血流を十分確保することで痛みへの根本的な改善を図ると共に、自分の体を触ることで忘れてしまった自分の体の認識を取り戻していくことが重要です。

自分で触っても筋肉の硬さがわからない?

女性
筋肉の硬い軟らかいが判断できない
男性
痛みがある筋肉を触っても硬い感じがわからない

筋肉を触ってもらう際に多くの方から聞く言葉です。

「人は本当の自分の顔を見ることは一生できない」と言われるように自分の体のことは自分が一番わかっているようでわかっていないことが多いです。
実際に触っても自分以外の筋肉を触った経験が少ないので比較対象がなく、筋肉の硬さを判断できずわからない方が多い。
ここでお伝えしたいポイントが2つあります。

POINT
①多くのヒトの筋肉を触る

②特に赤ちゃんや子どもの筋肉を触る

無理やりは絶対だめですが他のヒトの筋肉を触わることで筋肉の硬さの情報を集めて、自分の筋肉と比較してみてください。
自分より軟らかい方もいれば、自分よりもっと硬い方もいるかもしれません。
ヒトとしての最上級の筋肉の質を持っているのは赤ちゃんや子どもになります。
周りで触れることができる機会があれば、ぜひ筋肉を触ってみてください。

これが筋拘縮の解除された筋肉の状態かと認識できた時には、ご自身の中で大きな気づきがあると思います。


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ABOUTこの記事をかいた人

幼少期からサッカーに没頭し、家族やチームメイトなど関わってきた全ての方の助けもあり、小学校で全国大会優勝、高校で静岡県大会優勝の経験をさせて頂きました。しかし、高校時代に怪我による身体感覚の変化を経て「自分の體はプロでは通用しない」と自覚し、理学療法士の道を選択しました。 理学療法士として勤務した11年間で、担当した患者数は約5万人。 そんな多くの出会いや経験をさせて頂く中でよりヒトの探求していき、體の可能性と凄さを知ることで強さとしなやかさを引き出し、支え、手放せる存在になる為日々鍛錬中。 現在はMTRセラピストとして筋肉チューニング、栄養ストラテジー、リアクティベーション、メタトロン波動測定など【MTRメソッド】を様々な形で伝えている。