変形性股関節症の手術はしなくてもいい!?症状から判別する進行度合いとその対処法

以前も変形性股関節症について書きましたが、多くの方からご相談を受けますので、再度変形性股関節症について書きたいと思います。

先に少しだけ結論を言いますと、腰痛の原因と変形性股関節症の原因は一緒なのですが、まずは一般的に言われている変形性股関節症の原因や、変形性股関節症になるとどのような症状が出るのかについて書きます。その後に私たちが考える変形性股関節症の見解を書こうと思います。

変形性股関節説症は決して老化によって進行しているわけではありません。本当の原因がわかると、進行を止めることもできるようになってきますので、ぜひ最後までご覧下さい。

変形性股関節症で一般的に言われていること


一般的に変形性股関節症は女性に多く、老化などが原因で股関節が徐々に変形していく「一次性変形性股関節症」と呼ばれるタイプと先天性の股関節脱臼や発育性股関節形成不全が原因の「二次性変形性関節症」の二つのタイプがあると言われています。

変形性股関節症の約80%が二次性変形性股関節症で、関節リウマチや大腿骨頭壊死症などによる変形性股関節症も二次性股関節症に分類されます。発症すると加齢とともに次第に悪化し、進行してしまうと元の状態に戻すことができないと言われています。

変形性股関節症の症状

変形性股関節症の症状としては、股関節に痛みがあり、股関節の可動域の低下がみられます。初期の段階では、立ち上がるときや歩き始めに、脚の付け根に痛みを感じることが多いです。症状が進行すると痛みが強くなり、ひどくなると寝ている時も含めて、常に痛みを感じるようになります。

日常の生活の中では、

  • 足の爪を切る姿勢がとれなくなる
  • 靴下を履けない
  • 和式トイレが使えない
  • 正座ができない
  • 長い時間立てなくなる
  • 長い距離を歩けなくなる
  • 階段の登り下りに手すりが必要になる
  • 車から降りるのが困難になる

などの症状が現れます。

変形性股関節症はどのように進行するのか?

  • 前期
    臼蓋形成不全など、股関節の形成に異常がみられますが、大腿骨頭と寛骨臼の間にきちんと隙間があり、軟骨等の形も保たれている状態です。特に痛みは発生せず、長時間歩くと足にだるさや疲れやすさを感じる程度です。
  • 初期
    大腿骨頭と寛骨臼の隙間が狭くなり始め、軟骨が磨耗し始めます。この時期もあまり痛みを感じることはありません。
  • 進行期
    大腿骨頭と寛骨臼の隙間が明らかに狭くなり、骨のなかに空洞(嚢胞)ができたり、骨の棘(骨棘)ができ始めます。この頃からしゃがむのか困難になったり、歩行時に常に痛みを感じるようになります。ケースによっては人工関節の置換手術を勧められることがあります。
  • 末期
    大腿骨頭と寛骨臼の隙間が完全になくなり、軟骨も消失します。関節周囲の骨棘が大きくなったり、大腿骨頭にも嚢胞ができます。股関節の変形はかなり進行していて、安静時でも痛みを感じ、日常生活にも支障が出るようになります。この状態になると人工関節の置換手術をすることになります。

変形性股関節症の手術

進行期までは、主に保存療法で対処することが多いですが、末期に近づくにつれて手術を強く勧められるようになります。
骨切り術と人工関節置換術の2つの手術療法があり、骨切り術は切り取った自骨を活用して変形した股関節の形を整える手術です。60歳以下の方が対象で、進行期など比較的症状が軽いて時期に行われます。ただ、人工関節を入れるまでの時間稼ぎにしかならないと言われてもいます。
続いて、人工関節置換術ですが、痛んだ関節を取り除いて「人工関節」に置き換える手術になります。人工関節の耐用年数が約20年のため、60歳以上の末期の方に適している手術と言われています。

ここからは、私たちの見解を話そうと思います。私たちも「手術が全く必要ではない」と考えているわけではありません。ただ、変形性股関節症を引き起こしている原因を考えると、不要な手術をしている人が多いと感じているだけなのです。

それでは、どの時点から手術は必要なのでしょうか。実は末期になると手術が必要になるケースが多いと考えています。関節の変形が進行して、原型をとどめていない場合は、もうどうすることもできませんので手術が必要だと私たちは考えています。逆に進行期の大腿骨頭と寛骨臼の隙間がなくなっている程度であれば、手術をする必要はなく、変形性股関節症の原因を取り除いてあげれば、問題なく日常生活を送れるようになります。

どうして変形性股関節症になるのか

免疫異常により発生する関節リウマチや突発性の大腿骨頭壊死症などは別ですが、股関節の形成不全や老化は決して変形性股関節症の原因ではありません。厳密に言いますと、股関節の形成不全は、変形性股関節症の原因を作りやすい要因の一つではありますが、決して直接の原因ではありません。

前期段階
変形性股関節症はいきなり関節の変形から起きるわけではありません。その前段階があります。レントゲンやMRIには写りませんが、まず変形性股関節症の前段階として、股関節周りの筋肉が硬くなります。筋肉には負担がかかると硬く縮こまって筋肉を守る仕組みがあります。
この仕組みについては「腰痛の原因は骨ではなく筋肉だった!腰痛のメカニズムを詳しく解説」でお伝えしていますのでここでは省略しますが、負担がかかると筋肉は硬くなり筋拘縮の状態になると言うことは覚えておいてください。
股関節に負担がかかると、股関節周りの筋肉はその負荷によって硬い筋拘縮の状態になります。これは決して老化によるものではなく、若くても股関節に負担がかかると筋肉は硬くなります。股関節に形成不全があると、正常な状態の股関節よりも股関節周りの筋肉に負担がかかりやすくなりますので、筋肉が筋拘縮の状態になりやすくなります。

初期段階
硬く筋拘縮の状態になった筋肉は縮んだまま伸びることができなくなります。股関節周りの筋肉が筋拘縮し始めると、大腿骨頭と寛骨臼をお互いに押し付ける力が加わり始めます。もし股関節の周りの筋肉がゴムのように伸びる状態であれば、股関節をどの方向に動かしても股関節に負担がかかることがないことはイメージできますでしょうか。
逆に股関節周りの筋肉がワイヤーのように伸びない状態だった場合、その筋肉を伸ばす股関節の動きをした時に、股関節を押しつぶすような力が加わります。初期の段階では、まだそれほど硬く筋拘縮になった筋肉が多くないため、関節を押しつぶすような力はそれほど強くありません。

進行期
硬く筋拘縮になった筋肉が増えてくると、その筋肉をカバーするためにその周りの筋肉もどんどん硬く縮こまっていきます。この頃になると、どの方向に股関節を動かしても、大腿骨頭が寛骨臼をえぐるような動きをするようになり、間にある軟骨はどんどんすり減っていきます。関節を包む膜も傷つき、中にある関節液が漏れ始めます。この関節液は骨の成分を溶かし出してしまいますので、骨に穴(嚢胞)ができ始めます。
また、絶えずこすりつけるような負荷がかかっているので、骨が変形し棘を形成し始めます。

末期
骨嚢胞があちこちにでき、骨が発泡スチロール状態に。股関節を動かすたびに、脆くなった骨に大きな負荷がかかるので、骨が潰れてしまいます。この状態になったら、元に戻すことはできなくなってしまいますので、手術が必要です。

股関節に負担をかける筋拘縮を解除すると股関節痛は楽になる

変形や穴のあいた状態の骨を元に戻すことはできませんが、軟骨などは負担がかからなくなると再生することもあります。たとえ、大腿骨頭と寛骨臼の隙間がなくなっていたとしても、骨に大きな変形が起きていないのであれば、股関節に負担をかけている筋拘縮を解除することによって、徐々に大腿骨頭と寛骨臼の間に隙間ができ始めます。

変形性股関節症が進行期まで進んでしまっている方は、硬く筋拘縮になっている筋肉が多いため、筋肉が柔らかくなるための栄養と酸素が届きにくい状態になっていますので、時間がかかることが多いですが、それでも手術をしなくても痛みを改善することはできます。


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