みなさん、脊柱管狭窄症という疾患をご存知でしょうか?
一般的に、脊柱管狭窄症は坐骨神経痛の原因となる代表的な疾患と言われいます。
- 椎間板ヘルニア
- 変性すべり症
- 側弯症
- 椎間板の膨隆(ぼうりゅう)
- 椎体の変形
- 加齢性変化による椎間関節や椎弓(ついきゅう)などの骨や靭帯の肥厚
などにより、脊柱管(せきちゅうかん)と呼ばれる神経の通り道が狭くなり、このことが原因で脊柱管の神経が圧迫され、腰痛、下肢痛、しびれを引き起こしていると考えられています。あまりにも症状が重たい方は手術を行い、脊柱管を圧迫しているものを取り除いたり、脊柱を矯正するために金属のスクリュー、ロッドなどで脊柱を固定することもあります。
もし、神経が圧迫されることによって痛みや痺れが起きているのであれば、これらの手術をすることによって神経の圧迫が取れれば、痺れや痛みがなくなるはず。ところが、脊柱管狭窄症の手術は再手術の率が高く、手術をしても痛みや痺れが改善しなかった例も数多くあります。実際、手術後の調子が良かった方も4~5年以降は状態が悪化している方も多いようです。
手術をしても痛みが消えなかったり、あるいは再発するというのであれば、果たして腰痛や痺れの原因は本当に脊柱管狭窄症による神経の圧迫なのでしょうか?
今回は脊柱管狭窄症によって引き起こされると言われている症状、またその手術について説明をしながら、私たちなりの見解をお伝えしたいと思います。
脊柱管狭窄症で最も多い、腰部脊柱管狭窄症とは?
その名の通り、腰椎の脊柱管が狭くなることにより脊髄馬尾神経(せきずいばびしんけい)が圧迫され、下肢症状や腰痛が生じたりするのが、腰部脊柱管狭窄症と言われています。
腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状が、「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。
間欠性跛行とは、しばらく歩き続けていると足の痛みやしびれ、つっぱり感が出現し歩けなくなりますが、少し腰を曲げて座って休んでいると症状が緩和し、また歩けるようになる症状のことです。歩くたびに同様の症状を繰り返し、自転車など腰を曲げている状態では症状が増悪しにくいことも特徴です。症状の悪化とともに連続して歩ける時間、距離が短くなっていきます。これらの症状は馬尾型と神経根型と呼ばれる2タイプに分かれており、どちらも神経が圧迫されることによって引き起こされる症状とされています。
脊柱管狭窄症の治療とリスク
最初は内服薬、外用薬による薬物療法やブロック療法などによる保存療法が主になりますが、改善がみられなかったり症状が重たい場合は手術となります。
手術についての方法はここで詳しくお話ししませんが、上にも記述したように脊柱管狭窄症の手術は予後が悪いことがあり、痛みが消えなかったり、短期間で痛みが再発し再手術になるケースがあります。また、手術になりますので、少なからずリスクが生じます。
- 神経損傷による下肢麻痺、下肢知覚鈍麻、排尿排便障害
これらの神経損傷は、腰椎を高速回転のドリルで削除する際やヘルニア塊を摘出する操作の際に生じやすいとされています。 - 創部感染あるいは椎間板に炎症がみられる術後椎間板炎(術後腰痛が長びく)
- 神経を包んでいる膜(硬膜)の損傷による脊髄液の漏出、およびこれよって生じる髄膜炎
- 創部の血腫形成による神経麻痺・下肢痛
- 腹部の大血管の損傷による術中の大出血
- その他の稀な合併症として深部静脈血栓症、肺炎などの感染症などが生じることがあります。
以上が一般的な脊柱管狭窄症の症状や原因、治療法なのですが、ここからは、私たちが施術を通して至った見解を述べていきたいと思います。
神経の圧迫は痛みやしびれを引き起こす原因ではない
こちらについては以前ブログの、
もし、腰痛や足の痺れの原因が神経の圧迫によるものであれば、その圧迫をとる手術を行うことで改善をするはずですし、その症状が出ている方は必ずレントゲンやCTには何かしらの異常が映るはずです。しかし、画像所見上には何も問題がない状態にも関わらず、痺れや痛みを訴えるケースも多く、そのような場合は原因が分からないため痛み止めなどの保存治療にとどまっているのが現状です。
「筋拘縮」による血行不良が痺れの原因になる
私たちは、痺れや痛みは「筋肉の筋拘縮による血行不良」が原因で起きていると考えています。特に下肢の痺れに大きく関係する筋肉は恥骨筋・内転筋・梨状筋です。
これらの「筋拘縮=筋肉が硬く・太く」なると、その付近を通る血管を圧迫し出します。この付近には大腿動脈・静脈、上臀動脈・静脈、下臀動脈・静脈などが走行しており、臀部や下肢全体に血を送っています。もし、この付近の血管が筋拘縮によって常に圧迫されるとどうなるでしょうか? 川の上流の流れが悪くなってしまうと、下流は常に血行不良→酸素不足を引き起こしやすくなってしまいます。筋肉は慢性的に酸素不足になると、長時間正座した後に立ち上がった時と同じように、「痺れ」という症状が出てくるのです。
いかがでしたでしょうか?
脊柱管狭窄症というのはあくまで結果としてレントゲンやCTに写りますが、そのことが痺れや痛みの直接的な原因ではなく、レントゲンやCTでは判断できない筋拘縮が原因になっていることが多いのです。
鼠径部や臀部の筋拘縮を解除することで、下肢全体の痺れや痛みは改善できる可能性が高いです。もし、原因不明の痺れや痛みがあったり、脊柱管狭窄症と診断され手術を考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。