この記事をご覧くださっている方は、腰痛や肩こり、膝の痛みなど、今ご自身を悩ましている症状が、筋肉がこったり、硬くなることによって引き起こされているということに、気づいていらっしゃる方だと思います。
その硬くなった筋肉をどうにか柔らかくしようと思って、おそらくこのページをご覧くださっているのではないでしょうか。普段は腰痛の記事を多く書いているのですが、今回は腰痛の原因になっている、硬くなっている筋肉が「どうして硬くなってしまっているのか」ということにフォーカスして話をしてみようと思います。
筋肉が硬くなるのは「異常なこと?」
ところで、みなさんは筋肉がなぜ硬くなってしまっているのか、考えたことはありますでしょうか。今回は人類の進化の歴史の観点から、このことを考えてみようと思います。
筋肉が硬くなってしまうと、腰痛や、肩こりだけでなく、足のむくみや冷え性など、様々な症状引き起こすことから、悪いこと、あるいは何か異常な事態になっていると思われるかもしれません。ところが、視点が変われば見え方も変わってきます。
もし、仕組みを無視した異常なことが起きているのであれば、突然力が入らなくなったり、筋肉の形がある日突然変わったなど、もっと様々な現象が起きてもいいはずです。ところが周りを見渡しても、ほとんどの方が筋肉が硬くなる、つまり「こっている」という現象で困っているのではないでしょうか。筋肉が硬くなることによって、様々な症状が現れてはいますが、筋肉が「硬くなる」という現象に関しては、ほぼみなさん同じように起きているのではないでしょうか。
そう、筋肉が硬くなるという現象は、病気がなく健康な状態であっても、ほぼ誰にでも起きていますし、硬くなるいう現象は皆さんだいたい同じような状態で現れるはずです(筋肉が硬く、太く、伸びにくい)。全員同じような現象が起きているというのであれば、そこには仕組みがあるということです。つまり、筋肉には硬くなる仕組みがあり、その仕組みにのっとって筋肉は硬くなってしまっているのです。
筋肉は必要だから、硬くなっている?
DNAを解析できるようになって、私たち人類の歴史も大まかにではありますが明らかになってきました。初期の人類が誕生したのが、今から約700万〜600万年前ほど前、そして現世人類(ホモ・サピエンス)が誕生したのが、約20万年前だと言われています。そこから、あまり人類は進化せず、特にここ1万年ほど人類は大きな進化をしていないそうです。初期の人類から考えると600万年以上かけて、私たちはそれぞれの時代を生き残るための自然選択をしながら進化してきたのです。
ここで何を言いたいのかと言いますと、私たちの体は進化の過程で不要なものは退化してきましたし、必要なものは残って今の体になっているということです。もちろん進化が完了したわけではないので、もしかすると遠い未来では人類はもっと変わった体になっているかもしれません。ただ、少なくとも今の私たちの体は、これだけの期間をかけて進化してきた結果だということです。
そのように考えると、「二足歩行になったから人類は腰痛を患うようになった」という考え方はおかしいということになります。腰痛を引き起こすような進化をしているのであれば、私たち人類はとっくの昔に滅んでいたはずです。
筋肉が硬くなる現象も、これと同じことなのです。ここでみなさんに何を伝えたいのかと言いますと、進化の過程の中で、筋肉が硬い状態が維持される仕組みが残ったということは、必要だから残っているということなのです。
筋肉はなぜ硬くなる必要があるのか?
必要があって筋肉が硬くこっているというのであれば、なぜ筋肉が硬くなる必要があるのかを私たちは考える必要があります。「硬くなった筋肉をどうすれば元のやわからい状態に戻せるのか」については、多くの人が一生懸命考えていますが、そもそも「筋肉がなぜ硬くなってしまっているのか」を考えている人は本当に少ないです。この筋肉が硬くなっている理由がわかると、今まで自分たちが筋肉に対して誤ったアプローチをしてしまっていたことに気づけると思います。
ここからは、筋肉がなぜ硬くこってしまうのかについて、書いてみようと思います。
硬くこっている筋肉はどんな状態?
硬くこっている筋肉は、どんな状態になっているでしょうか。筋肉が硬くなっているのはもちろんですが、長さや伸びやすさ、太さはどうでしょうか。こっている筋肉は短く縮んで、太く、伸びにくい状態になっているはずです。
この状態の筋肉は、筋肉がこっている時以外でも、普段からよく目にする状態ではないでしょうか?
例えば、二の腕に力こぶを作った場合など、筋肉はどのような状態になっているでしょうか。こっている時と同じように硬く、太く、短く、伸びにくい状態になっているのではないでしょうか。
そうです、こっている筋肉というのは、私たちが力を入れている状態の筋肉と同じ状態なのです。
とういうことは、筋肉が硬くこっている原因を考えるのであれば、普段の生活の中で、力を入れる必要がある状況を考えたら、なぜ筋肉がこるのかが見えてきます。
ところでみなさんは、物を持ったり、姿勢を維持したり、自分でコントロールして体を動かす時以外で、どんな時に筋肉に力を入れるでしょうか。
- 後ろから突然驚かされてびっくりした時
- 道を歩いていて、突然路地から人が飛び出してきてぶつかりそうになった時
- 腕に注射を打たれる瞬間など痛いことをされそうな時
上記のような時は思わず力が入らないでしょうか。これらのシチュエーションで共通することは、刺激や痛みからとっさに守ろうとして力が入っている場面です。
詳しいメカニズムを説明すると話がややこしくなりますので硬くなるメカニズムについては今回も説明は省きますが、筋肉のこりや硬さは大雑把に表すと「体を守る」ために硬くなった筋肉がいくつかの条件が加わって、硬さを維持し続けている状態なのです。
つまり、「体を守る仕組み」が働き続けていて、力を抜きたくても力が入ったままになっている状態の筋肉が、筋肉のこりであり、筋肉の硬さであり、私たちが「筋拘」と表現している状態なのです。
「守る仕組み」が働いている筋肉に刺激を加えると?
守ろうとして力が入っている筋肉に、刺激や負荷を加えたらどうなるでしょうか。これは、想像に難くないですよね。
筋肉にとって、無理やり伸ばされたり、刺激を加えられるのは負荷になります。ここをご覧くださっている方の中にも、硬くなった筋肉を柔らかくしようと思ってストレッチや強めのマッサージをして、筋肉が余計に硬くなってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
硬くなった筋肉を柔らかくするには
硬くなった筋肉を力が抜けた本来の柔らかい状態にするには、筋肉にかかっている負荷を無くして、守ろうとしている状態を解除する必要があります。
先ほど、伸ばされたり、刺激が加わることは、筋肉にとっては負荷だという話をしましたが、それでは負荷をなくすにはどうしたらいいのでしょうか。
シンプルに先ほどとは逆のことをすればいいのです。刺激を加えず、伸ばすのではなく、筋肉をたるませればいいのです。
筋肉の仕組みは人間以外の動物も人間もそんなに大きな違いはありません。人間以外の動物は硬くなった筋肉を柔らかくするために、痛いのを我慢してストレッチをしたりマッサージをしたりするでしょうか。
そんなことはせず、おそらく楽な姿勢をとって、じっとしているはずです。
筋肉を本来の柔らかさに戻すには、これと同じことをすればいいのです。
筋肉の守る仕組みを解除して本来の柔らかさに戻す
もし、今まで硬くこった筋肉を柔らかくしようとして色々と試された方は、ちょっと振り返ってみてください。今まで自分がしてきたことは、筋肉に負荷をかける方法だったでしょうか。それとも負荷をなくす方法だったでしょうか。もし、負荷をかけるやり方をされてきたのでしたら、負荷をなくして筋肉を緩める、私たちの方法もぜひ試してみてください。
もし、ご自身で私たちが行なっている方法を試してみたいという方は、無料動画を公開していますので、ぜひそちらをご覧ください。
ここでは比較的簡単にできる肩凝り症状の要因の1つ僧帽筋セルフ筋肉チューニングのやり方を説明した動画を見ながら試してみてください。
*クリックすると様々な箇所の筋肉のセルフ筋肉チューニング動画が掲載されている「UROOM Instagram」が見れます。