変形性股関節症の原因は腰痛と同じ、骨ではなく筋肉が原因

「最近、歩いていると突然、股関節がカクッと外れたような感覚がある」
「長時間歩いた後、股関節が痛くなったり、重い、だるいなどの違和感が出たりする」

このような症状が出てきたら要注意。あなたの股関節に何らかの異常が起こっている可能性があります。

股関節は人体最大の関節であり、極めて大きな力がかかります。普段、片足で立っているだけでも体重の3~4倍(早歩きの場合は約10倍)もの重さが股関節にかかると言われています。そのような大きな負担がかかるからこそ、私たちはついつい体の構造が股関節痛や変形性股関節症の原因と考えてしまうのですが、実は違います。

私たちの体はジャンプして着地しようが、全力で走ろうが、片足でけんけんしようが大きな負荷がかかる分、それらの負荷に耐えられる体の構造をしているのです。バスケット選手やバレーボール選手、高いジャンプをすることで有名なマサイ族は全員股関節痛や変形性股関節症で悩んでいるでしょうか。

股関節に痛みや変形が起きるということは体の構造以外の原因があるのです。その原因を放置すると場合によっては手術が必要なケースも出てきます。そのような事態を防ぐには自分の身体をよく知り、早めの対策を行うことが大切です。もし痛みを放置するようなことがあれば、股関節以外の部分にも負担をかけて新しい痛みが発生するリスクがあります。

股関節はなぜ痛む?

股関節の痛みはなぜ発生するのでしょうか。多くの人が骨に着目する中で、私たちは筋肉に着目しています。

筋肉には、筋肉を守るために硬くなる仕組みがあります。この守るために硬くなっている状態を私たちは「筋拘縮」と表現しています。また、筋拘縮以外にも、筋肉が柔らかくなるために必要なエネルギー(栄養)が不足している場合も筋肉は硬い状態をキープしてしまいます。

大ももの骨の股関節付け根側(大腿骨頭)はボール状になっており、骨盤側でそのボールを受け止める臼蓋(きゅうがい)はお皿状になっています。この臼蓋と大腿骨頭の表面には「関節軟骨」という弾力性のある組織で覆われています。正常な状態であれば、臼蓋と大腿骨頭の間に「遊び」がある状態ですので、体重による負荷や地面からの衝撃を和らげてくれるのです。
ところが、股関節周辺の筋肉が筋拘縮の状態になりガチガチに硬くなると、骨頭が臼蓋をえぐるような負荷がかかるようになるのです。なぜ股関節周辺の筋肉が筋拘縮になると、骨頭が臼蓋をえぐるようになるのかは、「筋肉が筋拘縮になることによって椎間板ヘルニアになるメカニズム」と酷似していますので、気になる方は

椎間板ヘルニアは原因ではない、結果だ!

2019-02-04

をご覧ください。
腰椎が椎間板を押しつぶすのと同じようなことが、股関節でも起きているのです。

股関節は脚を前後(屈曲・伸展)、左右(外転・内転)、捻る(外旋・内旋)などの動きをさせる身体の中で一番大きな関節で、体重を支えつつ、立つ、歩く、走る、飛ぶなどさまざまな動きする上で要となる重要な関節です。だからこそ、大きい筋肉から、小さい筋肉まで股関節周りにはたくさんの筋肉が付いているのですが、それらの筋肉が硬くなってしまうと、股関節をどの方向に動かしても骨頭が臼蓋をえぐるような負荷がかかるようになるのです。

変形性股関節症が進行するメカニズム

日々の歩行などで骨頭が臼蓋をえぐり続けていると、やがて軟骨はすり減って、骨頭と臼蓋の隙間はなくなっていきます。その状態になっても、臼蓋をえぐる負荷はかかり続けますので、やがて関節包を傷つけるようになります。関節包の中にはわずかではありますが関節の潤滑油の役割を担っている関節液があります。この関節液が漏れ出すと骨の成分を溶かし出してしまうので、骨がスカスカになり「骨のう胞(こつのうほう)」という穴ができます。この骨のう胞を修復しようとして骨棘(こつきょく)ができるようになるのですが、さらにこの状態が続くと骨のう胞があちこちにでき、骨が発泡スチロール状になるので、ある瞬間にぐちゃっと骨頭や臼蓋が潰れるのです。こうなると、もう手術で人工関節に置換するしかありません。

股関節痛や変形性股関節症の原因が硬くなった筋肉なのであれば、逆にこれらのことを改善・予防するためには、筋肉をちゃんと伸び縮みできる状態にしてあげればいいのです。
すでに人工関節に置換する手術をした場合も、硬い筋肉が残ったままだと骨頭が臼蓋をえぐる負荷は残ったままになります。この負荷を取り除かない限り、痛みが再発したり、人工関節の耐用年数を減少させてしまうことになるのです。
手術前なのであれば人工関節への置換手術を極力回避するために、もし仮に手術をしてしまった後なのであれば、残っている痛みの改善や人工関節の耐用年数を伸ばすためにも、股関節周りの筋拘縮を解除する必要があります。

変形性股関節症と腰痛

腰痛Labなのに、なぜ腰痛でもない変形性股関節症を取り上げたかというと、実は腰痛の原因となっている筋肉と変形性股関節症の原因となっている筋肉がほぼ一緒だからです。股関節周辺の筋肉の中で、大腿直筋、中臀筋、大腿筋膜張筋の3つは、変形性股関節症に悩んでいる人を分析した結果、非常に負荷のかかっていることが科学的にも判明している筋肉です。この他、大内転筋や長内転筋などの内転筋群が加わります。

3つの筋肉のそれぞれの特徴を押えておきましょう
  • 大腿直筋:大腿四頭筋の一つで大きな筋肉です。股関節の屈曲、膝関節の伸展に関わり、歩行の際、脚を上げるのにとても重要な筋肉です。股関節と膝関節にまだがる2関節筋で影響力も大きいです。
  • 中臀筋:股関節の少し上に大腿骨の一部である大転子がありますが、この大転子の外側先端に付着しているのが中臀筋です。中臀筋は直立した姿勢や歩いているときに、体が左右にぶれないように止める働きがありますので、この筋肉が硬くなると、歩行の際のバランスが悪くなり、身体に悪影響を及ぼします。
  • 大腿筋膜張筋:大腿筋膜張筋は他の股関節屈筋によって股関節が屈曲している際に、股関節が外旋するのを防ぎ、足がまっすぐ前に出るようにするという重要な役割を果たしています。また中臀筋と協同し骨盤が左右にぶれないように安定させる働きもあります。

上記の筋肉が硬くなると、その代償を他の筋肉が負うようになります。人間の動きは、どこかが悪くなると、他の元気なところで補おうとするメカニズムが働くからです。代償の中心となるのが大腰筋です。

大腰筋はお腹の奥、腰椎の横からスタートして、左右の大腿骨の内裏に付着する、お腹から股関節にかけて広がる大きなインナーマッスルです。
大腰筋が硬く強い筋拘縮の状態になると、筋肉は縮んで身体を前側に引っ張ることになります。そうなると腰痛の痛みに直接関係している臀部や腰回りの筋肉に負担がかかるようになり、その周辺が筋拘縮になります。臀部や腰回りの筋肉が筋拘縮になると、今度は大腰筋を含めた股関節の前側の筋肉により一層の負荷がかかりその周辺がさらに筋拘縮になっていきます。それが繰り返されると、他の筋肉にも負担が波及していきます。

卵が先かニワトリが先かの話になりますが、「股関節周辺の筋肉が硬くなる」→「大腰筋が硬くなる」だけでなく、その逆で「大腰筋が硬くなる」→「股関節周辺の筋肉が硬くなる」も起きています。いわば無限ループのような状態になり、当然徐々にそれぞれの状態は悪くなっていきます。

つまり、股関節周辺の筋肉と大腰筋の筋肉の筋拘縮の無限ループは腰痛を生み出す無限ループと言っても過言ではないのです。

変形性股関節症の痛みの改善、予防するには筋拘縮を解除する

上記の悪循環を解消するには筋拘縮を解除する必要があります。筋肉を緩める方法としては、一般的にはマッサージ、ストレッチや道具を使ってほぐす方法などが紹介されていますが、筋肉の本来の柔らかさを取り戻すには筋肉の仕組みにしっかりとアプローチする必要があります。筋肉が硬くなる原因は大きく分けて二つあります。一つが筋肉のセンサーのずれ。もう一つがエネルギー不足。

筋肉が今どれくらい伸ばされているのかを監視しているセンサーが筋肉にはあるのですが、このセンサーが狂ってしまうと筋肉の構造上、筋肉は縮もう縮もうとし始めます。
また、筋肉の力を抜くためにはエネルギーが必要で、そのエネルギーが不足すると、たとえ筋肉のセンサーが正常になったとしても、筋肉は柔らかくなることができません。

変形性股関節症の方は、この二つの原因を改善する必要がありますので、私たちはこの両方にアプローチしています。

世界の関節治療に目を向けると、保存療法や運動療法が「まず行う治療法」として認識され、関連の学会もその考えを支持しています。進行が進み手術を検討されている方も、一度、「筋肉の状態」に目を向け、身体に出来るだけ負担のかからない改善方法を検討してみてはいかがでしょうか。

変形股関節症の症状と進行ステージ

変形性関節症の症状は、痛み、関節の動きの制限、跛行(はこう)です。跛行は片足を引きづって歩くなど、歩行のつりあいが取れていない状態です。
変形異性股関節症初期では関節の隙間が開いているものが、進行期には狭くなり、末期には隙間がなくなり骨同士がぶつかるようになります。骨が変形すると棘のように飛び出した骨棘も出てきます。当然、進行すれば痛みが強く出てくるようになります。最終的に骨頭と臼蓋が潰れた状態になると、股関節の可動域は著しく制限されたものになります。その段階にくると、保存療法での改善は難しく、人工関節置換手術などが必要になってきます。

一次性と二次性の原因

変形性股関節症の原因は一般的には一次性と二次性の大きく2つに分類されます。一次性は、明らかな原因がなくて関節が変形するもの。二次性は、先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全など何らかの病気や怪我が原因でおこるもので、日本では、この二次性が大半を占めると言われています。一次性、二次性どちらの原因であったとしても、筋拘縮が深く関係しています。

特に二次性は先天的に股関節周りの筋肉に負担がかかりやすく筋拘縮がしやすい状態ですので、普段からこまめに筋拘縮を解除する必要があります。逆にいうと、普段から筋肉のケアができていれば、二次性の原因があったとしても変形性股関節症を予防することができます。

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筋肉チューニング整体院UROOMにおける筋肉チューニングとは、筋肉を調律、調整、同調させて、筋拘縮や筋攣縮を解除する手法です。カウンターストレイン、筋膜リリース、仙腸関節調節法、MET、MPFなどの既成手技を独自改良した新手技を駆使して体全体の筋肉をニュートラルな状態に近づける現代版の整体施術です。これまで常識とされてきた神経が痛みの原因という神経原因説から、新たに筋肉原因説の研究が進んでいます。筋肉チューニングは痛みや不調の原因と思われる筋肉に直接アプローチする整体術はUROOMで受けることができます。